チェロという相棒を伴い移動している私たちチェリストですが、チェロを持っての移動は、正直大変なんてモノでは有りません。

電車、新幹線、長距離バス、様々な輸送機関を利用していますが、どれもチェロを持っての移動は大変です。

そして、その中でも特に大変なのが、飛行機なのです。

今回は、チェロを持って飛行機に乗る時の事についてお話ししようと思います。




チェロの機内持ち込み

飛行機の機内にチェロを持ち込みたいと思った場合、原則チェロの分の席を一席、買わなければいけません。

国内線の場合、1名で2席以上の座席が必要な搭乗者とし、自分の飛行機代プラス、特別旅客料金、AB券というチケットを購入します。

このチェロ用の機内席となるAB券は、国内線普通席の場合、一律一万円となっています。(これは2013年4月現在の話で、これまで幾度も変更が有ったので、今後も改訂される可能性が有る話です。飛行機にチェロを持ちこむ場合、ご自分で必ずご確認下さい。)

そして、チェロの分の座席を購入している証明となる、機内持ち込みタグを付け、搭乗する事になります。

チェロの機内持ち込み用タグ

上記写真が機内持ち込み用のタグ。

この様に、チェリストはチェロの為にお金を払って飛行機にチェロを持ちこんでいます。

飛行機の機内のチェロ

なにやらチェロ様といった感じですね。

飛行機の機内のチェロ

チェロはドリンクサービスも受けないし、食事もしないし、トイレも汚さないんですけどね・・・どんなに飛行機がガラガラでも、チェリストがチェロを機内に持ち込む場合は、チェロの為に一席買わねばなりません。(泣)

チェロの席を買っていれば万事OK?

そして、チェロの分の席を買っていれば安心かというと・・・結構そうでもないんですよね。。。

チェロを機内に持ち込もうとすると、必ずどっかですったもんだがあり、ストップがかかります(泣)

比較的、私が経験したので多いのは・・・某飛行機会社ではチェロは必ず一番後ろの席にと決まっています。(これは飛行機会社に改めて欲しいのですが)

この、チェロは必ず一番後ろというのは、予約の際のマニュアルで決まっているそうなのですが、飛行機の機材によっては天井が低く、座席に入らない、乗らない事が有るんですよね。。。

チェロを席に乗せる場合、緊急避難の為も有り、チェロは通路側には置く事は許されず、端の席に乗せなければいけません。

窓際にチェロ、そしてその隣に我々チェリストという事が非常に多いのですが、某飛行機会社のマニュアルに有るもう一つの条件、チェロを乗せる場合は一番後ろの席というのが・・・。

私たちチェリストにとって、チェロを普通席、エコノミー席に乗せる場合、一番良いのは壁の後ろ側(で解るかな??)、あるいはスチュワーデスさんと向い合せになる席(で解るかな??)と思います。

この壁のすぐ後ろの席は、前に人がいない、前にシートが無い席なので、足が伸ばせる為、飛行機に慣れている方には大変喜ばれる席、予約が取りずらい席となっています。

因みに国際線の場合だと、壁の後ろの席は、赤ちゃんを乗せる補助ボックスを取り付ける事が出来る為、通常は予約出来ない事も有ります。

この、前にシートの無い席こそがチェロを乗せるのに一番スペースがあり、他のお客さんに影響が無い場所なので、自分で予約の際には、その事を一生懸命説明するのですが、まぁ聞き入れてもらえません。。。

挙句に、実際に機内に持ち込み、飛行機会社が指定した席に乗せると、前の人がシートが倒せなくなってしまい、文句を言われたり・・・それで、「一番前の席、壁の後ろの席がチェロにはベストなのですが・・・」という事をスチュワーデスさんに説明し、一番前の方と変わってもらうことになり、一番前で足を延ばせると喜んでいる方に睨まれたり恨まれたり・・・こんな思いを何度してきた事やら。。。

餅は餅屋では無いですが、チェロを持ち運ぶことに関してはチェリストの方がよく知っていますので、座席もマニュアルではなく、私たちの話を聞いて欲しいな、と思います。(或いはマニュアルを作る時に、チェリストから話を聞いて作って欲しい。)

また、楽器に対する飛行機会社の取り組みも少々腑に落ちない点が有り、ばよりんやコントラバスの場合、飛行機会社で専用のケースを用意しているんですよね。。。

チェロ用は・・・有りません。。。

コントラバス用のケースを用意して下さっているのですから、是非、飛行機会社でもチェロ用の対策を!!とお願いしたいです。

国際線に乗る場合、チェロを預ける対策

因みに、私が国際線を利用する場合、私はチェロの為の座席を買った事は有りません。

毎回預けています。

というのは、国際線の場合、飛行機の機材も大型となり、ペット用の気圧調整が効く部屋(荷物入れ)があります。

通常、バルクと呼ばれる部屋なのですが、予約の際に「チェロを持って行きますので、バルクへの搭載をお願いします。」と伝え、チェロの為にバルク部屋を予約し、チェロを預けています。(バルクはとても狭いスペースなので、予約をお勧めします。)

今まで私自身は、チェロをバルク搭載し、楽器が割れた等の事故は、一度も有りません。(後述しますが、それ以外の驚きの事故は有りました。)

とはいっても、気圧調整が効くとはいえ、大事なチェロを預けるのはとても不安です。

そこで、私の対策なのですが・・・

チェロ 飛行機用ケース

↑私の旅行用のハードケースです。って、大学時代から数年前まで使っていたケースなんですけどね。。。

これを、丸ごと、寝袋に入れます。

チェロケースを寝袋に入れたところ

↑チェロケースを丸ごと寝袋に入れた所です。

それを更にコントラバスのソフトケースに入れます。

チェロのケースをコントラバスのケースに入れたところ

↑寝袋に入ったチェロのケースを丸ごとコントラバスのケースに入れた所です。

因みにこのコントラバスのソフトケースは、私が学生時代、初めてヨーロッパに行く時にチェロを機内に持ち込む対策を考え、「そうだ!!コントラバスのソフトケースに入れよう!!」と思い付き、都内の某コントラバス専門のお店に行って、チェロのケースのサイズを計ってもらい、特注したものです。

以来、私は海外に行く時、このやり方で、チェロは無傷です。(だからって、私の真似をして、チェロが割れても責任は取れません、あしからず。)

また、数年前からチェロを飛行機に預ける為の専用ケースもいくつか登場しました。

やはりチェリスト皆が、飛行機には悩まされているのでしょう。。。

私が経験した飛行機にまつわるチェロのトラブル

私自身は、チェロを預けた事によるチェロの割れ等は経験していませんが、ただ・・・一度だけ驚くべき事が有りました。。。

あれは・・・忘れもしない2000年7月・・・。

当時はチェロを預ける事に不安が有り、間違いや手違いが起きないよう、飛行場にもなるべく早く行くようにし、積み忘れ等が起きないよう気を配り、また、トランジット、経由地で行方不明にならないよう、なるべく直行便で移動していました。

あの日もウィーンから成田への直行便で帰国・・・成田の荷物を受け取るターンテーブルでチェロが来るのを待っていたのですが、いくら待ってもチェロが出てこないのです。。。

とうとう、私が最後の一人になってしまい、ターンテーブルもストップしてしまいました。。。

不安になりながら係員の人に尋ねると・・・少し待たされた後、「お客様、お客さまのチェロは、現在フランクフルトに有る模様です。」「!!!!!!!!!!」

もぅ、怒髪天を撞く思いでしたが、この今現在、私の対応している方のミスではないので、顔が引きつりながらも穏やかに状況説明を求めました。

それによると・・・積み忘れ・・・しかも向こうの飛行場は「持ってきたのが遅かった」というウソのいい訳。。。

いの一番にチェックインしている事を伝えた後、書類を作成するという事で、質問が始まりました。。。

「え~・・・お客様、チェロはどのようなトランクに入っていますでしょうか??」

「・・・・・チェロは楽器ですから、トランクに入れません。チェロのケースに入っています(怒)」

「え~・・・お客様、チェロの中に、お酒やタバコ、その他、免税品などは入っていませんでしょうか??」

さすがに・・・ここでぶち切れました。。。

声を荒げたと思います。。。

マニュアル通り・・・なんでしょうけど・・・私はこの対応は酷すぎると・・・。

一瞬声を荒げましたが、その後、この方のミスでは無い事を思い起こし、再び質問に応えることに・・・。

「え~・・・お客様、チェロの中に現金等は入っていますでしょうか??」

二度目の爆発!!

・・・・・でも・・・じつは現金、入れてました。。。

そして、チェロが明日フランクフルトから届いたら宅急便で送るというので、楽器という物が、そんな事されたら困る旨を話、直接受け取らせてくれ、とお願いし、幸いにも責任を感じてくれた担当の方が成田に一泊ホテルを取ってくれ、翌日、成田でフランクフルトを一人旅してきたチェロ君と再会しました。

無事だった姿を見た時は、涙が溢れそうになりましたね。。。

今となっては懐かしい思い出・・・ではなく、本当に恐ろしい思い出です。

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