チェロの駒には大きく分けてベルギースタイル、フレンチスタイルに2種類の駒があります。
以下の文は、それぞれどのような特徴があり、音に影響するか2009年に綴ったものです。
それから大きな変化があったわけではないのですが、細分化というか、駒も個人の好みを注文する奏者が大きくなってきているかもしれません。
例えばですが、メロスカルテットのペーター ブック氏は、ベルギー駒なのですが、中のくりぬきをフレンチ駒のようにした駒を立ててました(私が知りあった時は)。
また、最近ではGEWAのカタログにも例えば、ドイツの名巧、カントゥシャ氏のオリジナルの駒が載ってたりします。
チェロ自体が木ではなく、カーボン製の物が出来、また、音も良いとの事。
今後、駒も材質から変わる可能性も無きにしも非ずかも知れません。
此処に書かれている事は、あくまでも参考程度にし、師匠、そして信用できる楽器屋さんに楽器を診て頂いたうえで、助言を受けるのが一番と言う事を最初に記載させて下さい。
チェロの駒について
駒は、弦の振動を表板に伝える物の事です。
この振動の伝わり方を更に厳密に説明すると、横に振動している弦の振動を縦の振動に変え、表板に伝えているそうですが、ヴァイオリン属の神秘というか、駒の形、装飾といい、非常に不思議な代物です。
この駒なのですが、音に与える影響は大です。
そして、チェロには大きく分けて、フレンチ駒(ジャーマン駒と説明、呼ばれる場合もあります)とベルギー駒の2種類があります。
材質は共に楓。
フレンチ駒とベルギー駒の違いは、その姿形にあります。
フレンチスタイルのチェロの駒
上の写真はフレンチ駒なのですが、どっしりとしていて、肩幅も大きいです。
ベルギースタイルのチェロの駒
それに対しベルギー駒は、足が長く、すらっとしています。
スタイルの違いによるチェロの駒の考察
並べて比べると良く解ると思いますが、右がベルギー駒、左がフレンチ駒です。
駒の説明に関しては様々な意見が飛び交っていて、どれが本当なのか、正直わからない感じです。
例えば以前目にしたのには、ベルギー駒はもう時代遅れで、ヨーロッパでは皆フレンチ駒を使用している、というのがありましが、私の師、バルトロメイ、シュバヴ両先生共にベルギー駒を使用愛用し、推奨しています。
因みに私も今はベルギー駒を使っています。
また、ベルギー駒の方が高価である、とか、銘器にはベルギー駒が立てられている等の記述も目にした事がありますが、う~ん、無責任な事は言えませんが・・・。
そんなフレンチ駒とベルギー駒、肝心な音にどのような影響を与えるかというと、よく言われるのが、ベルギー駒はカーンとなる、と例えられます。
これは、その駒の体積が音に影響を与えているようです。
厚さが同じとした場合、ベルギー駒は体積がフレンチ駒より少なくなります。
それ故、弦の振動がフレンチ駒よりダイレクトに表板に伝わります。
その分、カーンという音というか、直接的というか、そう言った音になるようです。
極端な例えになりますが、例えば駒の厚さが10センチ、高さが50センチあったとしたら、弦の振動は駒に吸われて表板に伝わらず、楽器は響かなくなるでしょう。
だからといって、体積が少なければ少ない方が良いという訳ではないのが面白いというか、神秘的な所なのです。
今、私の楽器に立っているベルギー駒は、やや厚めな駒です。
その前に立てていたフレンチ駒は、非常に薄い駒でした。更に、お腹の部分を削ってもらい、足を長くしてもらい、楽器をなりやすくしてもらってました。
はたしてどちらの方が体積が少ないか、微妙です。このように、厚さが違ったりするので一概には言えないのです。
更にはベルギーとフレンチの中間の駒というのもあります。
シュタルケルが考案したシュタルケルブリッジというのもあります。
このように厚めに、あるいは薄く作ってもらったり、お腹を削ってもらう一工夫したり、色々な駒が存在することが、駒の音に与える影響の大きさを物語っていると思います。
楽器屋さんや先生に駒の交換の必要性を言われたら、楽器屋さん、先生の意見を参考にベルギー駒かフレンチ駒をチョイスし、立ててもらうことになりますが、最終的には自分の好みになる様に思います。
私事ですが、私の楽器、楽器屋さんに相談すると、大体フレンチ駒を勧められます。
ですが、私はベルギー駒を立てた方が良いように思うのです。
私の楽器の前の所有者も、今の私の楽器にベルギー駒を立ててました。ご自分の楽器にフレンチ駒を立ててる毛利先生も、私の楽器にはベルギー駒の方が合うみたいだね、と仰ってました。
ひょっとすると、弾き方、音の出し方、求める音も影響するのかもしれません。
今の所、ベルギー駒を立ててる私ですが、前述したフレンチとベルギーの中間の駒は未だ試した事がありません。
一度試したいと思っているのですが。。。
色々な付属品で音が変わるのは、大変面白いと思いますが、フレンチはあーだベルギーはこうだ言って騒ぐより、どんな楽器、状態でも常に自分の音を出せるよう、腕を磨くのが一番な気がしてきました。。。経済的にも。
なお、駒の事を含めた弦楽器全般のことに関して、神田侑晃氏が著書、「ヴァイオリンの見方、買い方」レッスンの友社刊の中で、大変詳しく、分かりやすく解説なさっています。
おすすめの一冊です。
チェロの付属品に関する記事
チェロの付属品に関する記事です。
トップページに戻る↓↓