現代のチェロ奏法では、親指がネックの下にある場合、左手の形は原則2種類です。
1,2,3,4の指、全部の指の間隔が半音の形(いわゆるネックのポジションでは、この形が基本形となります)と、1、2が全音で、2,3,4指はそのまま半音の広い形の2種類です。
大事な基本中の基本なので、今一度書きます。
基本形(本によっては狭い形等の記述も有)
1,2,3,4の音程が均等に半音
広い形(本によっては拡張型等の記述も有)
1,2の音程が全音、2,3,4が半音
原則この2種類です。
もう少し具体的に言うと、基本形はD線でAの音を4でとった時、4がA,3がAs,2がG、1がGesとなります。(通常第2ポジションと言われるポジションです)
広い形は、この基本形から1の指が伸び、1の指がFを押さえた形になります。
弓は持たずに、D線でAを4で押さえるところからスタートしてみてください。(第2ポジション)
A,As,Gをそれぞれ4,3,2で押さえ、1の指がGesかFを押さえます。
2,3,4と親指は動かさずに、1だけが動いて基本形と広い形の2種類を作ります。
2,3,4と親指の位置、間隔は、基本形だろうが広い形だろうが変わりません。
1の指だけが変わることを忘れないでください。
なぜ4の指から押さえるやり方で説明したこと言うと、例えばD線1stポジションで、1の指でEを押さえて、2,3,4はそれぞれF,Fis,G、これが基本形、広い形は1の指はE、2、3,4、はそれぞれFis,G,Gisをおさえます、と説明し、1の指を基点に2,3,4を動かす形で説明すると、親指もその都度移動することになり、初歩で教えるには作業が多すぎるように思います。
2,3,4は動かさず、1の指だけが伸びるかどうかで、基本形と広い形を作っていると説明すれば、親指は動く必要もなく、より簡単に理解できるのではと思います。
唯一の例外がオクターブの形で、オクターブを親指を使わずにとる場合、1と4の指でオクターブがとれれば、2,3と親指は不問となります。
例えば手の小さい私は、D線Eを1、A線Eを4でとるオクターブの形の場合、親指はネックからはみ出るというか、ネックの下に留めておくと、オクターブがとどかなくなります。
前述しましたが、一昔前は2,3と3,4も全音でとる形がありました。
例えば、ドヴォルジャークのコンチェルトの冒頭、シ~ドレシ~(H~ChisDisH~)、これを1,2,4,1でとるのは、今日では世界共通だと思いますが、一昔前は、実際そうやったかどうかは別にして、1~341~とか、1~231~というフィンガリングもありえたし、そのようにとれる訓練をしていました。
おそらくですが、2,3や3,4で全音をとろうとすると、腕の傾き自体を変えたりせねばならず、安定しないため、2,3,4は半音だけにした方が安全となり、今日に至ったのではと思います。
時折、指導を頼まれて教えたときに散見するのが、3,4を全音でとろうとする方なんです。
例えば、A線Dを1、Eを3、でとり、Fisを4でとる方がいるのですが、A線上で、D,E,Fisをポジション移動無しでとる場合は原則フィンガリングは広い形を用いた1、2,4で押さえる形だけです。
現代のチェロ奏法では、左手の形は原則2種類ということ、1の指だけが伸びるかどうかで基本形と広い形を作っているということを、頭の隅にでも置いてていただけると幸いです。
お手本、教科書として、毛利先生の動画をご紹介しておきます。
参考になる事を祈りつつ
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